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徳島大学循環器内科の診療内容

冠動脈CT、心臓MRI

心臓は動いている臓器であるため最近までは、CTやMRIで検査することは困難でしたが、技術の進歩により、画像を心電図と同期させ、造影剤を使用することで、心臓の血管の狭窄状態や心筋の性状を詳しく調べることができるようになりました。心臓の血管を調べる方法として最も信頼性の高い検査法はカテーテル血管造影ですが、その検査に匹敵する精度があって、心臓血管を調べる冠動脈CTで「狭窄がない」と診断した場合はまず大丈夫といわれています。

冠動脈CT像(左矢印 狭窄部位)



診療紹介(診断)

心エコー図検査

徳島大学病院では,年間5千件以上の経胸壁心エコー検査や約200件の経食道心エコー検査を行うなど,国内の大学病院としてはトップクラスの心エコー検査を行っております.

経食道心エコー

経食道心エコープローベと呼ばれる胃カメラに似たチューブを食道に挿入して行います.希望に応じて静脈麻酔を併用しますので,苦痛も出来る限り少なく検査することが可能です.弁膜症,感染性心内膜炎,心内血栓の評価などに有用です.3次元心エコー法を併用できる最新機種(Epic, E95)を導入しており,より正確な診断が可能です.

3次元心エコー

通常の2次元心エコーに比べて,死角も出来る限り少なく,構造を正確に把握できるツールです.3次元心エコー専用機を4台保有しておりますので,心臓外科手術前の評価だけでなく,通常のルーチン検査時に3次元心エコー法を用いた評価が可能です.複雑心奇形など先天性心疾患の評価も行っております.

スペックルトラッキング法

心エコー画像に特殊な画像解析を行うことで,心機能の微細な異常が検出可能となりました.本手法のスペシャリストが留学から2014年より帰国し,これまでわからなかった心筋異常の定量評価を積極的に行っております.心筋障害の病態解明の研究や,臨床におけるデバイス治療の適応決定や,薬物介入の判断に役立てています.

負荷心エコー法

徳島大学病院では前負荷を変動させることにより,安静時には検出できない血行動態や心機能の異常を評価する,プレロードストレス心エコー図検査を行っています.また,6分間歩行直後に心エコー図検査を行う,6分間歩行負荷心エコー図検査を,各種心疾患の予後予測および治療介入に役立てています.また,一般的なドブタミン負荷心エコー図検査も行い,弁膜症の病態評価や心筋虚血の検出を行っています.



狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患に対する治療方法について

狭心症や心筋梗塞は,心臓を養う血管(冠動脈)が動脈硬化により狭くなったり閉塞したりして起こる病気で、 近年、我が国における成人死因の上位を占める重大な疾患群です。これら虚血性心疾患に対する治療は、先端に風船(バルーン)の付いたカテーテルを冠動脈の狭窄や閉塞の箇所まで挿入し、風船を拡張することによりその病変を押し拡げて血液の流れを改善させ、さらには病変の状態に応じて筒状の金属の網(ステント)を植え込むカテーテル治療(インターベンション治療)が主流です.これらは、通常、手首の皮膚の局所麻酔のみで行われ、患者さんの身体への侵襲はとても小さく施行できます。最近では、治療した箇所が再び狭くなること(再狭窄)を防ぐ効果の高い薬剤溶出ステントが使用されることが多く、またステントの留置困難な小血管に対しては薬剤塗布バルーンの使用も可能となり、当院でも良好な再狭窄予防の治療効果を認めています。
急性心筋梗塞は、冠動脈が種々の原因により、突然、閉塞することで発症する致命的な疾患です。これに対しては、1秒を争っての冠動脈の再灌流が救命の鍵になります。当科では、急性心筋梗塞に対し、常時、可及的速やかにカテーテル治療が行える体制を取っております。

症例解説

70歳代女性。突然の胸痛を主訴に救急車で来院された。緊急カテーテル検査を施行したところ右冠動脈近位部が血栓で完全に閉塞しており急性心筋梗塞と診断した。血栓吸引後にステント留置を行い、良好な血流の再開が得られた。その後の経過も良好で約2週間後に元気に退院された。

閉塞性動脈硬化症に対する治療法について

動脈硬化により四肢(主に下肢)の血流障害を来すものを閉塞性動脈硬化症と言います。近年は,生活様式の欧米化や高齢化に伴い動脈硬化が蔓延し、この閉塞性動脈硬化症が急速に増えています。
初期の症状は、下肢の冷感やしびれです。進行すると、ある一定の距離の歩行によって下肢に痛みを感じるようになり長距離歩行が困難になります。 さらに進行すると、安静時にも痛みが現れるようになり、靴ずれなどがきっかけで足に潰瘍ができ、時には壊死に至ります。 初期の冷感やしびれに対しては、血管を拡げる薬(血管拡張薬)や血液を固まりにくくする薬(抗血小板薬)を用います。足の症状が強い場合には、心臓カテーテル治療と同様に下肢動脈造影後に風船やステントなどを用いて治療を行います。外来での問診や検査で治療適応を判断致します。

症例解説

40歳代男性。長距離歩行時の左足のだるさを主訴に来院された。左足の脈が弱いことに担当医が気付き、後日カテーテル検査を施行したところ左総腸骨動脈(左脚の付け根の動脈)の高度狭窄病変が見つかった。バルーン拡張後にステント留置を行い、左脚の良好な血流の再開が得られた。手術後には歩行時の足のだるさが完全に消失し元気に退院された。

不整脈のカテーテルアブレーション治療

様々な頻脈性不整脈に対しては、薬物治療のみならず3Dマッピングを利用した高周波カテーテルアブレーションをはじめとして、発作性心房細動に対してはバルーンカテーテルを用いた冷凍凝固アブレーションなど、国内最新の治療も取り入れています。


心房細動に対する高周波アブレーションの実際(3Dマッピング像)

高周波アブレーション              冷凍凝固アブレーション

カテーテルアブレーションの方法

ペースメーカー関連治療

徐脈性不整脈に対してはペースメーカー治療も多数行っています。
また、生命に関わる致死性不整脈に対しては植え込み型除細動器(ICD)、また心臓機能低下により心不全でお困りの患者様に対しては心臓再同期療法(CRT-D, CRT-P)といったデバイス治療も積極的に行っています。また、ICDが必要な患者さんでは、病状によっては血管内にリード線を留置しないタイプの完全皮下植込み型除細動器(S-ICD)を選択したり、必要に応じて一時的に着用型自動除細動器(WCD)を使用するなど、病状に合わせて多彩な治療が可能です。また、これらペースメーカー関連デバイスを植え込み後の患者さまにつきましては、遠隔モニタリングシステムを利用し、ご自宅にいながら病院を受診することなく、異常等を早期発見できる体制も整えております。

代表的なペースメーカー関連デバイス

遠隔モニタリングシステムの実際

その他

原因不明の失神症状については重篤な不整脈が隠れていることもあり、こういったことが疑われれば心臓電気生理検査を行ったり、植え込み型ループレコーダー(小型の心電計)を用いたりして不整脈発作の有無を調べるなどして原因解明を行います。

心不全

心不全部門では主に心不全患者様の原因診断を行い、薬物治療・非薬物治療を行っております。心不全の原因診断では、心臓超音波検査、心臓MRIや心臓CT、心臓核医学検査などの非侵襲的検査を行い、必要に応じて、心臓カテーテル検査や心筋生検による組織学的検査、遺伝子検査などを併用して行っております。
診断結果や経過より最適な薬物治療を行い、患者様に応じて非薬物治療を行っております。非薬物治療は、包括的心臓リハビリテーション、ペースメーカ治療(心臓再同期療法)、陽圧呼吸治療、カテーテル治療などがあります。
当院は心筋症や弁膜症に対するカテーテル治療も積極的に行っており、閉塞性肥大型心筋症に対する経皮的中隔心筋焼灼術(PTSMA : Percutaneous transluminal septal myocardial ablation)や、大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル的大動脈弁植え込み術 (TAVI(タビ) : Transcatheter Aortic Valve Implantation)なども施行しています。特に大動脈弁狭窄症は薬物治療では治療困難で、患者数が増加しておりTAVI(タビ)外来を開設し、患者様を受け入れています。当院のTAVI(タビ)に関する詳しい内容は特設ページを御参照ください(http://tavi.umin.jp/associate.html)。

植え込み型ループレコーダ


不整脈でお困りの全ての患者様のお役に立てるように学会認定不整脈専門医グループが中心となって対応いたします。

肺高血圧症(肺動脈性肺高血圧)

心臓から肺に血液を送るための血管を「肺動脈」といいます。この肺動脈の血圧が異常に上昇し、心臓から肺に拍出する血液量が減少する疾患を「肺動脈性肺高血圧症(PAH)」と呼びます。その原因はさまざまであり、原因不明で特発性と呼ばれるもの、膠原病によるもの、肺疾患によるもの、などさまざまなカテゴリーに分類されます。診断するためには、右心カテーテル検査が必須であり、肺動脈平均圧が25 mmHg以上であることを証明する必要があります。ある一定基準を満たすPAHは指定難病とされており、公的な資金援助が受けれます(http://www.nanbyou.or.jp/entry/171)。
また近年肺動脈を拡張させる様々な薬剤が開発され、たくさんの患者さんが使用しております。これまでは、PAHは診断されてから数年以内にたくさんの患者さんが亡くなっていたのですが、これらの肺血管拡張薬の開発により、たくさんの患者さんの寿命が延びるようになりました。
肺高血圧症もしくは肺動脈高血圧が疑われているもしくは診断さている患者さんには、肺高血圧外来にて、まずエコー検査などの侵襲を伴わない検査を行い、次に入院にてカテーテル検査を行い適切に診断したのちに、それぞれの患者さんに最も適切な薬物を見きわめ治療をしていきます。

心臓リハビリテーション(心リハ)部門

心疾患の罹患された患者様は、安静にしているよりも適切に運動療法を行った方が生命予後を改善し、再発予防や運動耐容能向上につながることがわかっています。当院の心臓リハビリテーション(心リハ)では、心疾患に罹患された患者様に対して個別に運動指導、日常生活での注意点の指導、危険因子の管理、心のケアなどを総合的に行っています。 運動処方は心肺運動負荷試験を行い、最適な運動強度・頻度、リスク評価を行っています。また、医師、理学療法士、看護師、薬剤師など多くの専門医療職がかかわって、患者さん一人ひとりの状態に応じたリハビリプログラムを提案、実施しています。
心リハの対象となる患者様は、心筋梗塞、狭心症、心不全、開心術後、動脈疾患など多岐にわたり、当院では心リハプログラムを、入院中の急性期の患者様から、必要に応じて外来通院心リハを施行しています。心リハの紹介も受け入れておりますので、担当医の先生から当院の心リハを紹介受診することも可能です。
また、当院は四国で唯一の心リハ研修施設に認定されており、心リハに従事する医療従事者の育成も行っております。


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