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ESCに参加して(坂東 遼)
ESC学会紀行
坂東遼
私は2023年8月25日から28日までオランダ アムステルダムで開催されたヨーロッパ心臓病学会(ESC 2023)に参加しました。学会紀行を書くにあたりベテランの山口先生に尋ねたところ、帰る道中に書くのがいいよとアドバイスを受けたのでスキポール空港で飛行機を待ちながら書いています。
今回は私と髙橋智紀先生が発表者、山田先生が付き添いで同行してくださりました。出発前までバタバタしておりヨーロッパも暑いだろと半袖で到着しましたが、アムステルダムは寒かったです。気温は概ね20℃以下、私の長袖はスーツとスウェットのみだったので、二刀流で乗り切ろうと決意しました。
学会会場は大きかったのですがHOT LINE1のSTEP-HFpEFは定員オーバーで中に入れず、外のモニターに立ち見の人が溢れていました。私も外で見ていましたが発表が終わると会場内外から拍手が鳴り響き、盛り上がりを肌に感じました。夜は運河クルーズを予定していたので会場を後にし、発表よかったなと思いながらエレベーターを降りていると、前の人のリュックから財布が抜き取られていました。一瞬何が起こっているかわかりませんでしたが、リュックの持ち主は髙橋先生であり、スリだ!と思い手を掴み”What are you doing?”と尋ねると「落ちていた財布をバッグに戻そうとした」と言っていました。んな訳あるか!と思い(英語は出てきませんでした)、財布を回収すると犯人は走って逃げていきました。幸い他に盗まれたものはなかったので、深追いせず少し疑心暗鬼になりながら地下鉄を乗り継ぎクルーズ船に到着しました。初日から若干不穏な空気が流れましたが、運河クルーズではムイさんという女性(全く知らない方ですが学会参加者、アルジェリア出身)との出会いもあり4人でアムステルダムの景色を楽しみました。
2日目は私の発表があり緊張していましたが、佐田先生、八木先生、倉敷でお世話になっていた門田一繁先生、生田旭宏先生も駆けつけてくださり無事終えることができました。内容は冠動脈大血管(3mm以上)の新規狭窄病変に対して薬剤塗布バルーン単独での治療成績をまとめたもので、比較的スムーズに発表できましたが発表中の視線や身振り手振りなど改善点はあったと思います。またいくつか質問もいただいたのですが、こちらの意図を伝えきれず悔しい部分もあったので英語力向上のためにオンライン英会話を開始しました。次の機会はもっと上手に発表しようと思います。
この日はHOT LINE3でSTOPDAPT-3の発表があり残念ながらnegative dateでしたが、当院も参加していた臨床研究が世界中に発表される様を見て感動しました。ホクホクしながら会場を後にし、佐田先生主催の食事会で留学生のウガさん、オビさんとも一緒に美味しいワインとビール、オランダ料理をいただきました。オランダ料理が口に合うか心配でしたが杞憂であり、肉料理やクロケット(コロッケ)、さすがに生牡蠣はやめましたがハーリング(ニシン)などの魚料理も美味しくいただき、発表が終わったこともあってほろ酔い気分で非常に楽しい時間を過ごせました。
3日目は髙橋先生の発表がありましたが、スムーズに発表され質疑応答もそつなくこなされていました。同日は夕方からハイネケンミュージアムを訪れ、ビールの製造過程を学びながら出来立てのハイネケンをいただきました。アムステルダムに来てから何度か飲みましたがこの日のハイネケンは格別でした。また夜は山田先生のお知り合いの先生と食事させていただきましたが、到着便でロストバゲージとなりアムステルダムに到着してまずユニクロに行かれたとのことでした。我々は初日にスリ未遂事件はあったものの、その後は大きなトラブルなく過ごせておりラッキーだなと思いながら話を伺っていました。最終日は興味のある分野を聴講しつつ、夜に倉敷の先生方と食事をしました。国内学会で挨拶することはありましたが、アムステルダムでお会いでき感慨深かったです。
いろんなことがあったESCですが、合間にちゃっかり芸術鑑賞(ゴッホ美術館もアムステルダム国立美術館も最高でした)もでき、私としては総じて楽しくいい経験ができました。やはり学会は現地に行かないと!と改めて思い、今回の経験を糧にしてより良い研究が出来るよう引き続き研究・臨床ともに精進しようと思います。
最後に佐田先生をはじめ、ご指導いただいた若槻先生、山口先生、川端先生に感謝申し上げます。また長期不在になるにも関わらず、快く送り出してくださった諸先生方、ありがとうございました。