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ヨーロッパ心臓病学会(ESC Congress 2022)2022.8.26~29 in バルセロナ

徳島大学大学院医歯薬学研究部 特任教授 八木 秀介

 2022年8月24日から8月31日までスペインのバルセルナで開催されたESC2022 に出席してきました。オンライン参加が6500人、オンサイトが1.6万人と2万人以上が参加し、世界最大級の循環器学術集会です。日本ではCOVID19 7波が収まりつつある状況下でしたので3年ぶりに海外学会に参加しました。学会会場は巨大で、オンサイトにもかかわらず、オンラインも併用して学会を聴講しました。また会場内にDJブースがあり、ダンスミュージックがずっと流れて会場を盛り上げていたのにはびっくりしました。
 この学会でもっとも注目された試験は、HFpEF患者におけるダパグリフロジンの効果を検証したDELIVER試験でした。開始30分前にメイン会場に入りましたが、椅子のみならず床にもたくさんの聴講者があふれており関心の高さがわかりました。結果は、エンパグリフロジンの試験と同様SGLT2阻害薬ダパグリフロジンはプラセボと比較して、一貫して心血管死/心不全増悪のリスクを低下させたことが示されました。この試験のサブ解析はこれまで類を見ないほどの数が主要ジャーナルに同時掲載されたようです。これまで有用な治療薬がなかったHFpEFに対して今後SGLT2阻害薬がClassIの推奨になるようです。
 つぎに注目されたのは、急性非代償性心不全患者におけるアセタゾラミドの効果を検証したADVOR試験です。ループ利尿薬に追加したアセタゾラミドのボーラス投与は、プラセボと比較して3日以内のうっ血解除率が高く、尿量のみでなくナトリウム利尿への効果も認められたことが示されました。この後急性心不全の利尿薬の使い方が変わってくると思われます。
 また肺高血圧のガイドラインも改定されその解説のセッションがありました。前述のDELIVER試験と変わらず会場いっぱいに聴講人があふれ米国と違って欧州での肺高血圧の関心の高さにびっくりしました。このガイドラインでは、肺高血圧症とは、mPAP>20mmHg、PAWP≦15mmHg、PVR>2WUであると明確にガイドラインで定義されました。また“PAH with cardiopulmonary comorbidities“がはじめてガイドラインにて定義され治療方針が示されました。この概念は、血行動態はI群ですが、II群、III群の要素を少し含んでいる病態で、我々が肺高血圧の診療を行う際もっとも多く経験する疾患群と思われます。この疾患群に対しての治療は、単剤(PEDE5iかERA)で開始することがClass IIa推奨されました。
 4日日の日程をすべて参加し、非常に盛り上がった学会で楽しみながら最新の情報をupdateすることができ有意義なバルセロナ訪問でした。私にとって初めてのバルセロナだったのでサクラダファミリアを見学し、イカスミパエリアを食べてきました。またこの度FESC選出の賞状も頂きました。帰国の際には、COVID19のPCRセンターで陰性証明をとる必要がありオンライン予約していましたが、試薬が足りなくなったということで急遽他のPCRセンターでPCRを受けるというバタバタもありましたが、ワクチン接種証明やPCR陰性証明をMYSOSアプリに登録し、無事帰国できました。


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